| ストーリー | キャスト | 感動感銘度 | 衝撃度 | 印象度 | 総合 |
| − | − | − | − | − | − |
※各項目は5点満点、総合は100点満点
悪意の次は暴力です。
日本の暴力団の抗争を、怒号を飛び交わせながら、暴力的に描いている「アウトレイジ」。上部組織の思惑に左右される小組織の組長を北野武が演じ、達観したシニカルな目線を持つ組長を好演しています。
そういう視線は暴力の描き方にも現れていて、暴力的ではあるけれど、戯画的な感じがする描き方は、韓国映画のみもふたもない徹底的な暴力描写とは一線を画しています。
こういう部分が、「アウトレイジ」がカンヌでも賛否両論あった理由でしょうか。コミカルなのか、マジなのか、にわかに真意がつかみかねます。
でも、本作から「暴力」を除くと、こういった権力闘争は、意外と身近に、それこそ会社内でもありそうな話ですよね。
意を尽くして話をしても、義はこちらにありと思っていても、ままならないことが多い世の中、この映画のように暴力に訴えることができたらなあと、ちょっとでも思ってしまうことが危険な映画です。
会議でも「ふざけんなあー！」とか、「てめえ、だれに向かって口きいてるんじゃ〜」とか言ったらスカッとするんじゃないかと思うときってあるよねえ。
薬師丸ひろ子の「セーラー服と機関銃」を髣髴とさせるシーンがあったりして、さすがに「アウトレイジ」の人は、薬師丸ひろ子みたいに「カイカン」とは言わないけれど、それは観客側が感じてしまうことです。
暴力的でありながら、というか、暴力的であるからこそ、カイカンを感じてしまうという、人間の業を描いた作品といえなくもありません。
三浦友和や、加瀬亮、北村総一朗など、"いいひと"達が、みな悪い人を演じているキャスティングの妙があります。まあ、カンヌではそういうことは分からなかったんだろうとは思います。逆に、石橋蓮司は、もっと強面一辺倒で攻めてくるのかと思ったら、「今度は愛妻家」に次ぐ、異色キャラです。
TOHOシネマズ岡南スクリーン４にて
−２０１０ワーナー・ブラザース=オフィス北野／１０９分−
シアターＦ．通信