| ストーリー | キャスト | 感動感銘度 | 衝撃度 | 印象度 | 総合 |
| − | − | − | − | − | − |
※各項目は5点満点、総合は100点満点
この原作本は、町田康の大力作であり、河内弁炸裂の大傑作長編小説の「告白」の後に出てきたので、このタイミングで同タイトルの本とはなんだかいやな感じだなあと思っていたら、この湊かなえの「告白」のほうが本屋大賞→映画化ときて評判化し、今ではすっかり「告白」といえばこちらの方になってしまっているんですね。
で、松たか子主演で、中島哲也監督で映画化された本作なんですが、確かに監督の演出は冴えていると思うし、松たか子も底知れぬ悪意を表現していると思います。だけど、そうは思うけど・・・、と留保しておきたい気持ちです。
この映画で描かれている悪意というか、あからさまさというか、そういうものをあえて、このような形であばくかのように描かなければならないというモチベーションがよくわかりません。この映画というか、この原作がなんでしょうけど。
割と無邪気に、「面白かった？」って聞かれても、「面白い！」なんてそうそう答えられません。
悪意を悪意として描くことって、そんなに面白い仕事なんだろうか。映画としてきちんとした仕事がなされているだけに、余計に割り切れない気持ちを抱いてしまいます。
もっとウェットであるか、もっとドライであるかすると、すわりがよかった気がしますが。
でもそんなすわりのよさを求める映画ではないんでしょうね。違和感を感じさせてこその映画なんでしょうね。
映画の中のように悪意がはびこる現代社会に生きる身としては、「面白かった！」といえるようでなければいけないんでしょう、きっと。
TOHOシネマズ岡南スクリーン３にて
−２０１０東宝／１０６分−
シアターＦ．通信