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公開の初日の１２月１日、それから２日の木村拓哉リスペクト番組はすごい勢いですね。たいしたものです。でもこのような手放しの持ち上げっぷりは、彼のためにはならないような気がしますけど。
でもさあ、当然取り上げる方もマスコミ試写とかで観てるわけだよね。その上での、なんだか大げさなまでの取り上げ方は、どうなのさ。
こういうのを見せられると、フジテレビ製作映画のはしゃぎ方の方が罪がないような気がします。
劇場でも年配の人が多かったものの、若い人もバランス良く入っていて、ここが「たそがれ清兵衛」や「隠し剣 鬼の爪」との大きな違いです。木村拓哉起用の狙いは当たったということでしょうね。
まあ、当編集員は、お手並み拝見というか、ある意味底意地の悪い見方をしてしまうので、素直に捉えることができないだけかもしれませんが。
でも、キムタク・・・役作りに謙虚さが感じられないんだけど。だいたい周りで役を固めている人たちの努力を無にするような演技をする主役はダメなんじゃないの。
普通に素の時に発するような「だー、かー、らー」のような発声とか、いい加減にしてよね。
山田洋次×藤沢周平であれば、きちんと「・・がんす」、「・・・せば」と言って欲しいと思います。かなり奥羽弁色は薄まっています。
と木村拓哉のことばかり書いてるけど、本当は作品自体の問題かもしれません。
木村の役は、下級武士で殿の食事の毒見係。加世という奥さんとの二人暮らしのつつましい生活は、ある事件が起こることによって一変してしまう。
（観てからから読んで→）
とまあ、前作までであれば、人を斬りたくもないのに藩命として成し遂げなければならなかったり、身分の違いで叶わぬ恋という命題があったりと、その展開には抜き差しならぬものがあったけど、本作のこれはどうなんでしょう。
たしかに、人の弱みにつけ込むあの藩の要職の男はけしからんと思います。だけど、なんだか今までと比べると話がいきなり小さくなってしまったという印象を受けてしまいます。
主題としての大きさを云々すべきではないとは思うし、私怨的ないきさつが絡んでもまさにそこに武士としての一分をかけるべきものがあるという内容なんだと思うけど、内容と役者のスケールがいきなり小さくなってしまったのは、認めていただかないといけません。
ほとんどの場面を、木村拓哉と檀れいとの夫婦役で持たすのは、ちょっと見ていて単調さも感じます。「たそがれ清兵衛」での敵役である田中泯のような緊迫感のある存在も見当たりません。
映画館で予告編を観たことがなかったんで、なんでなんだろうと思っていたけど、これは予告編の作りようがないからかもしれません。
（←ここまで）
客が呼べれば勝ちではあるし、客が呼べるものをスターというのであれば、まさに木村拓哉はスターなんだろうけど、作品と評価が結びつかない（ってすでに決めつけているけど）興行だけのスターは、なんだか裸の王様的に、ちょっと寂しい。
TOHOシネマズ岡南スクリーン２にて
−２００６松竹／１２１分−
シアターＦ．通信
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