はじまっていきなりの父殺しの場面。なんか、宮崎吾郎という人も、偉大なる父を持って大変だなあと思う反面、父との自分の関係性をいったんは否定するアリバイ作りといううがった見方もしてしまいます。
でも、アニメーションにおける監督の役割というのはなに？ キャラクターは宮崎（父）テイストでは、やはり息子であるがゆえのアドバンテージと受け取らざるをえません。
宮崎駿は、最初に息子の監督には反対していたとかという情報はあるけれど、結局は作品として世に出ているわけで、別に父親に息子の作品の出来に対する責任はないとは思うけど、スタジオジブリの主要メンバーとしてはこの作品に対しての責任はあるはずでしょう。
ジブリブランドというだけで、それなりの品質を期待している観客がいるのであればなおさらです。
（観てから読んで→）
でも、この内容には観終わったあとに唖然としました。
宮崎駿が描き出す浮遊感や動きの楽しさなどはまったくありません。
話としても、大賢人ゲドと王子アレンと少女テルー、そしてテナーの４人の関わりがほとんど動くわけではなく、この内容はかなり退屈です。魔女クモとのいざこざについても同様です。
「命をそまつにするやつなんか、だいっきらいだ」に代表される、すべてをセリフで表現しようとするその演出はどうでしょうか。アレンの演技（表情）も大げさすぎます。
テルーにしても、顔にやけどのあとが残っているという設定でも、絵としては薄い赤っぽい影のような表現の仕方では、テルーの境遇に説得力も持たせられません。
まったく、父はどのようにこの作品を捉えてるんですか？ 大いに疑問です。
内容的に、戦記でもないじゃないと思っていたら、原作がそんな感じだったみたいですが。
（←ここまで）
ちなみに、ジブリの「監督日誌」には、宮崎吾郎監督が舞台挨拶時に感じた岡山メルパへの言及があります。
岡山メルパグランドにて
−２００６東宝／１１５分−
シアターＦ．通信