シュガー＆スパイス 風味絶佳 << 2006レビュー >> 13歳の夏に僕は生まれた
韓国映画の名作「イルマーレ｣をキアヌ・リーブスとサンドラ・ブロックの「スピード」コンビでリメイクするという企画色の強い映画です。
といっても、オリジナルの「イルマーレ」については、細部を忘れてしまっているんですが・・・。
もちろん、時間を越えた恋愛という核は覚えているけれど。
湖畔の家を引っ越していくにあたって、郵便ポストに次の住人へのメッセージを入れるケイト。そしてその手紙を受け取るアレックス。
その手紙の内容はなんだかちぐはぐなのだが、やがて二人は郵便ポストを通じて時間を越えたやり取りをしているということに気がつく。
サンドラ・ブロックは医師、キアヌ・リーブスは建築家という役なのだけれど、二人の時間を越えたやり取りだけではなくて、サンドラ・ブロック演じるケイトの別の彼氏との恋愛、キアヌ演じるアレックスの父親との関係を綴りながら物語は進みます。
（観てから読んで→）
でも、これらのエピソードが、それぞれの人間性やこの映画に深みを与える効果をもたらしているかは分かりません。
９６分という比較的短い映画にも関わらず、退屈だったもの。ル・コルビュジェやらライトやらを引き合いに出されても、ケイトの昔の彼氏との関係を描かれても、それらは効果を出すどころか、なんだか本来の二人の時間を越えたやり取りという面白さを減じさせてはいないでしょうか。
時間を越えたすれ違いというもどかしさ。そして彼女には明日の出来事でも、彼には２年＋１日ということになってしまうという巧みさ。
韓国オリジナル版はこのすれ違いの妙を見せてくれたと思うけど、このアメリカ版「イルマーレ」では、なんだか普通のラブストーリーのようなおもむきになっています。
映像的にも、時間は隔たっても空間は共有できるので、同じ空間で、ケイトとアレックスとのツーショットが成り立ってしまって、それがなおさら時間が隔たっているので会えないと言う二人の切なさをダイレクトに感じさせてくれません。
この郵便受けを介して時間を飛越えるというＳＦ的な不可思議さをあえて薄めて、大人のラブストーリーに変換するという狙いがあったのかもしれませんが。
（←ここまで）
ちなみに、オリジナルでは湖畔の家が"イルマーレ"という名前だったけれど、このリメイク版ではレストランの名前になっています。
TOHOシネマズ岡南スクリーン５にて
−２００６米／９６分−
シアターＦ．通信