ロード・オブ・ウォー 史上最強の武器商人と呼ばれた男 << 2006レビュー >> フライトプラン
とても、強い印象を残す映画です。
子供には幸せな人生を歩んでもらいたいと親ならば誰でもが思うけど、この中に出てくる少年少女のたどり着いた先は、いったいどうしたことでしょう。
風景や大阪との距離感、海を埋め立てた云々から、岡山っぽいと思っていたら、やっぱり岡山の物語なんですね。
悲壮な話の舞台が岡山なんて・・・ご当地映画と言われないわけです。なんか、この土地はそういった物語を内在している気がします。
（見てから読んで→）
自分の物語をいとも簡単に終わらせてしまった少年と、終わらせなかった少女。
それはシュウジとエリなのだが、境遇としては比較にならないくらい過酷な運命を生きたエリが最後には希望を感じさせ、兄シュウイチの転落から簡単に家族が崩壊してしまって、それに引きずられるようにして自らも自分の物語を終わらせてしまったシュウジ。
この男の子と女の子の物語の違いはなんなのか。誰か一緒に死んで欲しいと願ったエリ。誰か一緒に生きて欲しいと願ったシュウジ。
神父の言っていた"言葉が現実に引き止める"ということからすると、エリは言葉を持っていて、シュウジは持っていなかったということでしょうか。そしてシュウジの家庭にも言葉はなかったわけです。
だとすると、どうやったら彼ら彼女らに言葉を持たせることができるのかということになります。
また、シュウジは過度に土地の持つ意味に影響されてしまったのでしょうか。そこはかとなく交わされる差別というものに。そして両親の欺瞞に。学校の狡猾さに。
でも、あの神父はいけません。なんでシュウジをあんな男の所に連れて行ったのでしょう。まったくの失敗です。あれでダメを押されたようなものです。
（←ここまで）
シュウジの役に、NEWSの手越祐也。最近なにかとまたお騒がせのNEWSですが、早稲田に行って頑張ってほしいと思います。
エリには「誰も知らない」が印象的だった韓英恵。過酷な運命でありながら、強く生き続ける姿に感銘します。
むかつくガキ、失礼、少年のシュウイチには柄本佑。言わずと知れた柄本明の息子ですが、なんか分かったような言葉を振りかざす彼は、世間一般というものを体現しているようです。
エリの通う協会の神父は豊川悦司です。最近、彼をよくスクリーンで見かけるような気がします。
中谷美紀が、かなり思い切った演技で大注目です。
シネマ・クレール石関にて
−２００５角川映画＝エンジェル・シネマ／１２５分（R-12）−
シアターＦ．通信