タカダワタル的ゼロ << 2008レビュー >> 地球が静止する日(字幕版)
| ストーリー | キャスト | 感動感銘度 | 衝撃度 | 印象度 | 総合 |
| ４・０ | ４．５ | ３．５ | ４．５ | ４．０ | ８２ |
※各項目は5点満点、総合は100点満点
"小学生の女の子が妊娠する"という、題材だけ聞いたらちょっとぎょっとする映画です。ＴＶドラマでは、金八の「十五歳の母」→志田未来の「14才の母」と低年齢化が進んでますが、この作品はいきなり小５ですよ。いくら映画とはいえ、反モラルですよねえ、と感じてしまいます。
妊娠・・・なんて聞くと、下世話ながら、その結果ではなくて、何故？ どのようにして？と、その原因に関心を持ってしまいがちです。だものだから、映画が始まってからは、どこでその原因が発生するのかとちょっとはらはらしてしまいます。でも、そんな興味本位の映画ではありませんから、さらりという感じです。淫靡な感じはありません。
しかも、演じている女の子が、"みんな死ねだし"とか今風に悪態をついてばかりだというのも、あまりじめじめした感じを与えません。この春菜っていう子は得がたいキャスティングです。
（観てから読んで→）
妊娠した春菜のお腹は段々と膨らんできます。本当に、この話はどのように進んでいくのかと、観ている方が心配になります。春菜の身の上を心配するというよりも、この映画の始末のつけ方をどうするのかなあと思って。
そんな心配をする観客を置き去りにするように、春菜の妊娠月数は進んでいきます。もう中絶ができないくらいまでに進んでいくと、さすがホントにどうする？って感じになります。まさかねえ。妊娠はしてもねえ、出産なんてねえ・・・。
学校での演劇の演目が、シェークスピアの「真夏の夜の夢」だったので、一瞬、そうかそういう決着のつけ方をするのかと思ってしまった。夢だったってことはないだろうけど、想像妊娠だったとかっていうのは有りかなあと。
でも、そんなやわな映画ではありませんでした。
もう一つのこだわりは、大人にまったく知らせずに、子供たちだけでなんとかしようとするところ。これも、いつまで子供たちだけの中で隠し通せるのかって思って観ていたけれど、これについても、貫きますね。
先生はまだしも、親は本当に気づかないのか？と、ちょっと疑問に感じるところはありますけどね。宮崎美子演じる母親は、春菜のお腹の異変に気づいていたシーンもあったもの。
妊娠の当然の帰結である最後に至っては、そんな！ まさか？って感じで、受け止めがたいシーンで、観終わったあともなんだか釈然としない感じで、そんなことができるのかという思いと、そんなことを起こらせていいのかという常識的な判断とが沸き起こります。
でも、映画のトーンが、この出来事を祝福しているようで、改めて思い返してみると、とても魅力的な映画です。
子供たちもがんばりました。はるな役の子もそうだったけど、学級委員長役の女の子も子供たちをまとめて、はるなを助けて、よくやったよね。
麻生久美子演じる教師が、生真面目に性教育論を戦わせてみたり、子供に対して支配的でありながら、最後の後日談のところで、よき理解者的になっているのが、ちょっと違和感ありましたけど。
（←ここまで）
春菜には高校生の姉がいて、その姉役は谷村美月です。姉妹という設定に説得力あるキャスティングです。けっこう、顔が似ています。
バーのママ役の上野樹里のシーンは、ちょっと分かりづらい。
観終わってから段々といろんなシーンを思い返して、徐々に心になじんでくるそういう映画です。
シネマ・クレール丸の内２にて
−２００８ビターズ・エンド／１２２分−
シアターＦ．通信
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