インビクタス 負けざる者たち << 2010レビュー >> 時をかける少女
| ストーリー | キャスト | 感動感銘度 | 衝撃度 | 印象度 | 総合 |
| ４．０ | ４．５ | ４．０ | ４．５ | ４．５ | ８６ |
※各項目は5点満点、総合は100点満点
世間的には昨年の映画だろうけど、ようやく観れました。そして熱狂しました。本当にさ、映画を観に来てるんだからさ、小説のアウトラインをなぞったような映画なんて観たくないよね。わざわざ映画館に来ているんだから、こういうものをこそ観たいと思う。
少年と少女の普通でない出会いを、普通でない展開で力強く描いた壮大な愛の物語です。ある意味で壮絶な家庭からの脱出を図ろうとした少年達の死闘です。
主人公のユウはカソリックの神父である父から、毎日懺悔に値する罪を告白することを強要され、罪を作るために悪いことをするという、ゆがんだ関係を父と築いている。そして、段々と罪作りがエスカレートしていくユウがたどり着くのが、なんとエロ方面。その方面の師匠に弟子入りし、開眼したのがパンチラ撮影というが、まず脱力で、アクロバテックな盗撮テクニックの数々も、エロと言いつつ、おいおいそっちかよって感じです。
そんなへんな方向に行ってしまっているユウだけど、彼に運命ともいえる衝撃がやってくる。母親を早くに亡くし、心のマリアを捜し求めていたユウは、不良仲間との約束でサソリというキャラクターに女装していた、まさにそのへんなタイミングで、運命のマリアであるヨーコと出会う。ここでユウはヨーコに心惹かれるが、ヨーコが心惹かれているのはサソリという架空のキャラクターになってしまうという大きなねじれが生じます。
そうこうしているうちに、謎の宗教カルトの影がちらつき、教団側の女の子コイケがユウの周りに現れ、不穏な空気が漂い始める・・・。
このあたりまでで、上映時間は結構経過しているけれど、これはこの物語のほんのプロローグみたいなものです。
大真面目にエロやら罪やらに取り組む壮大な物語にリアルな感じを与えているキャスティングも秀逸です。
ユウを演じたトリプルエーの西島隆弘は、その素直な感じの風貌でアクロバットなパンチラ盗撮師を熱演です。映画初出演で初主演だそうですね。すごい演技をするものです。
ヨーコを演じた満島ひかりはおしげもなくパンチラで、「恋は五・七・五！」の関めぐみを超えてます。
また、カルト側の安藤サクラなんて不穏な表情で恐ろしすぎ。板尾創路の父親との壮絶なエピソードも寒くなります。
だんだんと人間関係のねじれ方はひどくなり、話が錯綜していくストーリーの中で、ユウの一途な愛が輝いています。ただひとりのマリアにしか、男として反応しないというところが、男の中の男ですね。
筆文字で、愛・の・む・き・だ・しと、ガツンガツンと現れるタイトルバックと同様に力強い作品です。これはもう一度観たい。けど、１週間のみの上映ではこれもかなわぬ望みです。
シネマ・クレール丸の内２にて
−２００８ファントム・フィルム／２３７分−
シアターＦ．通信
インビクタス 負けざる者たち << 2010レビュー >> 時をかける少女