キャピタリズム マネーは踊る << 2010レビュー >> サヨナライツカ
| ストーリー | キャスト | 感動感銘度 | 衝撃度 | 印象度 | 総合 |
| ３．５ | ４．０ | ３．５ | ３．５ | ４．０ | ７４ |
※各項目は5点満点、総合は100点満点
「今度は愛妻家」だなんて、ストレートな題名ですね。
こんなタイトルだから、はたして夫婦で行って大丈夫なんだろうか・・・、夫側の立場が著しく不利になったらいやだなあ・・・などと、かなり身構えながら観にいったわけです。
豊川悦司と薬師丸ひろ子とが夫婦役で、行定勲が監督のこの映画は、結婚１０年目の夫婦という微妙な距離感をわりとリアルに切り取ってみせます。
でも、書くのが難しい映画です。
いろいろと健康に気を使いすぎる妻と、それをうっとおしく思う夫。夫が妻の旅行中に、家に女を引き入れる算段をしたり、妻はそれにうすうす感づいて、とぼけて夫の邪魔をしようとしたりと、最初はコミカルな感じで夫婦を描いていきます。
そんな中にも、ふとシリアスなすれ違いがあったりして、ちょっとひやっとしたりもするわけですが。
伊坂幸太郎原作映画ではおなじみの濱田岳が、豊川悦司演じるカメラマンの弟子役、水川あさみが女優志望の捨て身の女性役、スタジオに出入りしているおかま役が石橋蓮司と、脇が盛り立てます。
途中から、この３人をめぐる話の方が興味深く感じられて、夫婦を題材にした話のはずなのに、その周辺の話題の方が面白いってどういうこと？って思ってしまう。
（観てから読んで→）
夫婦のエピソードと、その周辺の話の明らかなバランスの悪さは、その後の展開の伏線になるわけですが、感のいい人はここらで気づくものがあることでしょう。
前半とはうってかわって後半はトーンが変わっていくわけですが、そういう映画と分かってみれば、この映画の宣伝の仕方がちょっと不満です。
まずタイトルからして、「今度は愛妻家」ってなってるし、"今度は"っていうところで、ひっかからせなくてもいいのに。原題（っていうのもいったいどういうことっていう気はするけど）の「A GOOD HUSBAND」というニュアンスでいいのに。そうすれば、この夫のありようから皮肉を効かせたタイトルかというようにも思わせることができたのに。
かつての韓国映画の「猟奇的な彼女」では、凶暴な彼女とそれに振り回されるボーイフレンドという設定の奇抜さを前面に出し、映画の予告でもそんな凶暴な彼女の面白さを感じさせる内容になっていればこそ、後半のしっとりとしたところも生きていたと思う。
それにならって言えば、この映画も、前半コミカルにやるならば、コミカルなタッチの宣伝に終始すればよかったのにと思ってしまう。それであればこその意外性が生きてきたのに。事前に、涙が止まらない的な情報を流されても、それは逆効果じゃないのかなあ。
だいたいチラシなんかの雰囲気と、映画が始まってからのタイトルなんかの出し方のコミカルさとが、相容れないと思うんだけれど。なんかもったいない。
おまけに、実はっていうところから、なんだか長い。長く感じる。
さらに悲しい気持ちをストレートに泣きの演技で見せる映画もちょっと苦手かも。
（←ここまで）
でも、映画自体は、ありきたりな言い方だけど、本当に身近な人のかけがいのなさが身にしみる映画です。
日々の行動を深く反省しました。
TOHOシネマズ岡南スクリーン４にて
−２００９東映／１３１分−
シアターＦ．通信
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